個展に関するいろいろ(3)

かつては、海外を旅行したり、
自転車で日本を見て回ったり、
とにかく旅のことしか頭になかった。
35才ぐらいまでは、頭の中はほとんど旅のことを考えていた。
ただ、旅をしながら、
「あなたの住んでいる場所はすばらしい」
などと言っているうちに、
「あなたの住んでいるところはどうなんですか」
と、逆に問いかけられているような気がしてきた。
35歳を超えたときに、
自分の住む場所をしっかりと見つめてみたい、
と思うようになった。
それ以降都市をテーマに写真を撮るようになり、
大阪を大判カメラで撮影したりしていた。
そして、撮影範囲はさらに自分の家の近くになり、
最近は歩いて行ける範囲でしか撮らなくなった。
雑然とした、まったく絵にならない我が町であるが、
そんな町でも自分が何を思い、どのようにして町と関わっていくかということを、
写真に撮ってみたくなった。
「歩く・見る・眠る」。
「歩く」は、行動すること。
「見る」は、感じること。
「眠る」は、感じたことを内面化する過程。
眠っている間に、全身の神経を通じて感じたことが自己の内側に浸透していく、
それが私のイメージだ。
この3つを、シンプルに繰り返すことで、
自分の住む環境を内面化したい、
というのが、私の欲望だ。
ただ、このタイトルには、
もう少し違う思い入れがある。
それは、また今度。
(つづく。かもしれない)


雪。
終日、家から一歩も出ず。