最近読んだ本。
「映像という神秘と快楽」長谷正人(以文社)。
副題は「世界と触れ合うためのレッスン」。
写真であれ、映画であれ、カメラによって捕らえられた視覚世界は、
人間世界への絶対的無関心を持っている、
ということを前提に、
写真や映画が人間に何をもたらすのか、ということを考える本。
無関心なカメラ的視線が、逆説的に人間的視線よりも深い愛情や慈悲的視線を持つこと、
あるいは写真の触覚性などについて論じられる。
いったん意味を剥奪した写真的視線に意味を与えていく作業は、
なかなか刺激的である。
後半は、映画における反復運動ということが取り上げれている。
映画のメカニズム的反復運動と映画作品における反復性との関連は、
私には少し強引に思えるが、
反復の意味については、興味深いものがある。
自分なりに写真と反復の関係なども考えてみた。
写真や映画を考える上で面白いヒントを与えてくれる。

映像という神秘と快楽―“世界”と触れ合うためのレッスン

映像という神秘と快楽―“世界”と触れ合うためのレッスン