ニューヨーク、昔と今

今読んでいる本。
先日BookOffで購入した”NewYorkThenAndNow”。
30年ほど前にアメリカで出版された写真集。
見開きの左側に1864〜1938年に撮影されたニューヨークの写真、
右側に1974〜1975年に左ページの写真と同じ場所で撮影されたニューヨークの写真が並べられている。
40〜90年隔てて年の風景がどのように変化しているかを比較することができる。
ここ数日、寝る前にこの本を開いて見ているが、
どうしても昔の写真が良く見える。
建物にも歩いている人々にも風格がある。
ただ、この写真集、若干の仕掛けがある。
昔の写真に比べると、新しいほうの写真は、
適当に撮影されているように思われる。
よく言えば「効率的に撮影されている」。
古いほうの写真は、大きなカメラで三脚を据えて撮られている。
小型カメラがない時代なのだから当然と言えば当然。
一方新しいほうの写真は、小型カメラを使って撮影されたと思われる。
大きな違いは、「あおり」である。
普通建物を下から見上げて撮影すると上のほうがすぼまって写るのだが、
「あおり」を使うと垂直に写る。
これは、撮影レンズをフィルム面に対して平行に上方に動かすことで可能になる。
この技術が新しいほうの写真では使われていない。
現在でも大判カメラを使えばこの操作は可能であるから、
新しいほうの写真はその操作ができない小型カメラをわざわざ使っている。
さらに、建物が上に向かってすぼまることを防ぐためか、
新しいほうの写真はやや望遠系のレンズが使われている。
せっかく同じ場所に立っているのだから、
同じような焦点距離のレンズを使って撮影すればいいのに、
そこの部分をごまかしていて、写真の印象もそのために違って見えてしまう。
以上のような事情もあり、どうしても古いほうの写真が良く見えてしまう。
まあ、それがこの本の意図なのかもしれない。
「昔のニューヨークはよかった」と。
まあ、新しいほうの写真からもすでに30年経過しているわけで、
現在はさらに変貌しているのだろう。
そのへんの想像をしながら見るのも楽しい写真集である。

New York Then and Now (New York City)

New York Then and Now (New York City)

(今アマゾンで調べたら、この本がちゃんと出てきたので驚いた)