妻の三回忌。

妻を思い出せる場所に行こうと思って、病院に行く。
7年間お世話になった病院。
すべてはここから始まった。
最期はここではなかったが、いちばんお世話になった場所。

病院の2階にあるカフェで、ミラノサンドを食べる。
悲しくないな、と思っていたら、
「おまたせ」と言って妻が現れた。
そんな想像をしながら外の風景をずっと見ていた。
涙が出てきた。

かなしみやくるしみやたのしみやうれしさが、
分厚い地層となった7年間。
ドトールのミルクレープみたいだな、とドトールで考える。

しあわせだけだったら味一つやん、と妻が言う。
言わないか。
妻は、わかりやすく幸せを求める人だった。
でも、つらいことを乗り越える忍耐も努力も知恵もあった。
そして、それはちゃんと私の中に生きている。
ありがとう。
きみは、ちゃんとここで生きているよ。