昨日、出張先で熱くなった頭をクールダウンするために、
夕暮れの街を歩いた。
鞄からカメラを取り出し、薄暮の街を撮る。
シャッター速度が1/8になって、
ぶれてしまうとわかっていてもシャッターを切る。
写っていないと知りながらもシャッターを切りたいときがある。
途中、猫が近寄ってきて、私の足に体をこすりつける。
やわらかい、生き物の感触。

人が生きていくというのはたいへんなことだな、と思う。
嵐が去ったと思っていたら、それよりもっとひどい嵐が来る。
その嵐がいつまでも去らないときに、
人はどこに気持ちをおけばいいんだろう。
1年も2年も嵐の中にいる人に、
かける言葉を私は持っていない。

嵐の中にいる人のために、
人が集まって、何かできることはないかと話をする。
いつ晴れるかわからない嵐の中で、
せめて、体にあたる風が少しでも弱まりますように、
雨粒が少なくなりますように。
今できるのはそれだけ。
でも、それをできるのは、
人間しかないのだな、
と思う夕暮れ。